2023年12月26日(火)に研究会を実施しました。
当日の議題は「中小企業診断士にだけこっそり教える 〜安全と効率を両立させる!ヒューマンエラー対策〜 」です。
千葉県中小企業診断士協会の江口光司さんをお招きし、ヒューマンエラーが発生する原因と対策について学びました。
講義は、江口さんの軽快なトークと何度かのワークを含む、学びの多い1時間半でした。
その内容は、介護業界でお仕事をされていたご経験、エビデンスに基づくデータ、多くの実例などを交え、とても分かりやすかったです。
参加した多くの診断士が、ヒューマンエラーについて理解を深めるとともに、支援先に活かせる様々な施策のアイデアをいただきました。
少しだけ、今回学んだヒューマンエラーと、その対策についてご紹介します。
ヒューマンエラーとは、「人間の行動の結果として許容範囲から外れた行動」を指します。
アインシュタインの言葉「宇宙と人間の愚かさに限りはない」が示すように、人間が活動するうえでヒューマンエラーは必ず起こります。
研究によると、人間は1日に7つのエラーを起こすそうです。
ヒューマンエラーが発生する要因には、人に関するものと環境に関するものがあります。
今回は、主に人に関する要因について、事例を交えて詳しく教えていただきました。
例えば、物理的空間と心理的空間の違い、こじつけ解釈や確証バイアス、権威勾配、集団的幻想などです。
ヒューマンエラー対策についても、詳しく解説していただきました。
人間はエラーする生き物です。
そのため、ヒューマンエラー対策とは、エラーを0にすることではなく、エラーを許容範囲に入れる、被害を最小にすることになります。
全体としては、以下の4ステップの対策になります。
・ステップ1 作業数を減らす
・ステップ2 エラー発生確率を下げる
・ステップ3 早く検出する
・ステップ4 あらかじめ備える
より具体的に活用できる対策として、河野龍太郎氏が提唱する「11段階の戦術的エラー発想手順」について解説いただきました。
そのうち、「脳の空き容量不足モデル、ビー玉7個分」の話は、とても印象的でした。
脳の処理能力をビー玉7個分として見立てた際、それを超えるような負荷の大きい作業をすると危険が大きい、つまりヒューマンエラーが起こりやすくなります。
一例として、複雑な処理で5個分+車の運転で2個分+昼食後で頭が寝ていると1.3個分となり、脳の処理能力7個を超えてしまいます。
江口さんからの最後のまとめの言葉も、説得力がありました。
「危険は証明できても、安全は証明できません。つまり、完全な安全はありません。そのため、安全性とリスクのバランスを考えること、理論よりも実践、できることから始めることが大切です」
正にそのとおりですね。
参加した多くの診断士が、ヒューマンエラー防止手順に腹落ちして、明日から日常業務に実行したいと思った密度の濃い内容、一年の締めに相応しい講義でした。
その後は、恒例の懇親会です。
忘年会も兼ねて、ヒューマンエラーを起こさない程度に日本酒を堪能しながら、会話に花が弾みました(ちなみに、アルコールを飲むとビー玉5個分くらいになるそうです)。
あらためてこの1年を振り返ると、ふら研では多くの学びをいただきました。
ぜひ来年にこの学びを活かしていきたいと思う、素晴らしい会でした。
この1年間、ふらっと研究会に関係していただいた方々に感謝申し上げます。
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